賞与の源泉所得税とは?
賞与(ボーナス)の源泉所得税は、 「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」を使い、 前月の社会保険料等控除後の給与額と扶養親族等の数から税率ゾーンを決めて計算します。 本ツールは令和8年分(2026年1〜12月支払)の算出率表に対応し、 前月給与ゼロ・賞与が前月給与の10倍超といった特例計算(所得税法施行令186条)にも自動で対応します。
こんな場面で使えます
- 経理担当: 算出率表の読み替えが面倒な賞与源泉を一発算出。特例適用のダブルチェックにも使える
- 税理士・社労士: 関与先からの「前月給与ゼロの新入社員賞与」「高額役員賞与(10倍超)」の源泉税問い合わせ対応
- 従業員: 賞与明細の源泉税が想定と違う場合の検算(前月残業の多寡で税率ゾーンが変わる点も確認)
既存「賞与計算ツール」との使い分け
当サイトには類似ツールとして「賞与計算ツール」があります。 役割を以下のように分けています。
- 賞与計算ツール(shoyo-keisan): 社会保険料の詳細(標準賞与額キャップ・料率内訳)と手取り概算に特化
- 本ツール(shoyo-zeikin): 源泉徴収税額表ベースの税額計算に特化。特例1/特例2の税務論点を厳密に扱う
社会保険料の内訳・キャップ解説を詳しく知りたい場合は、 賞与計算ツールをご利用ください。
算出率表の見方と18の税率ゾーン
源泉徴収の実務では、令和8年1〜12月支払の賞与に令和8年分の算出率表を使います(国税庁)。 令和8年分の表は令和7年度税制改正に伴う見直しを反映しているため、令和7年分以前の表を流用しないでください。
税率は0.000%〜40.840%の18ゾーンに分かれ、扶養人数が多いほど・前月給与が低いほど税率は下がります。 税率には復興特別所得税2.1%が既に織り込まれています(例: 所得税率2%の行は2.042%)。 扶養人数欄は7人以上で頭打ちのため、8人以上の扶養がいる場合も7人欄を見ます。
社会保険料の取扱い(本ツール)
源泉税の計算には、前月給与と今回の賞与から控除した社会保険料等の実額が必要です。本ツールでは、扱いを次の2つから選べます。
- 自動概算(既定): 令和8年度(2026年4月以降)の協会けんぽ等の設定と、雇用保険の事業区分から社会保険料等を概算します。雇用保険の本人負担率は、一般が0.5%、農林水産・清酒製造と建設が0.6%です。都道府県・年齢・事業区分の条件を指定して試算したい場合に使います。2026年1〜3月支給分は、実額が分かる場合に「金額を直接入力」を選んでください。
- 金額を直接入力: 給与明細などで実額が分かる場合に、前月給与から控除した社会保険料等と今回賞与から控除する社会保険料等を、それぞれ合計額(円)で入力します。健康保険・介護保険・厚生年金・雇用保険・子ども子育て支援金など社会保険料等の合計で、所得税・住民税は含めません。
金額を直接入力では、健康保険の種類・料率・年齢・年度累計・雇用保険の業種の入力は表示せず、結果にも保険別の内訳を推測して表示しません。実際に本人負担がない場合は、それぞれ0円を入力してください。空欄のままでは計算できません。 また、自動概算で健康保険料率を0%にしても、厚生年金や雇用保険などすべての社会保険料等を0円にする指定ではありません。社会保険料等の控除がないケースは「金額を直接入力」を選び、両方の金額に0円を入力してください。
園芸サービス、牛馬の育成、酪農、養鶏、養豚、内水面養殖、特定の船員を雇用する事業は、雇用保険の料率上は一般の事業として扱います。自社の事業区分や実際の控除額に迷う場合は、給与明細を確認のうえ「金額を直接入力」で検算してください。なお、労災保険料は事業主が負担するもので、本人から控除する社会保険料等には含めません。
計算例|自動概算で月給30万円・賞与50万円・扶養0人・東京都・40歳未満
賞与50万円・前月給与30万円・扶養親族等0人・一般業種・40歳未満を例に、源泉所得税を計算します。ここでは「自動概算」で東京都を選択した場合を示します。給与明細の控除額で検算する場合は「金額を直接入力」を選び、前月分と賞与分の社会保険料等を別々に入力してください。
| ステップ | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 前月給与の社保控除 | 300,000 × (9.85%/2 + 18.30%/2 + 0.5% + 0.23%/2) | 44,070円 |
| 前月の社保控除後給与 | 300,000 − 44,070 | 255,930円 |
| 税率ゾーン判定 | 令和8年分・扶養0人列の255,930円が含まれる行 | 4.084%(国税庁表) |
| 賞与 健康保険料(本人) | 500,000 × 9.85% / 2 | 24,625円 |
| 賞与 厚生年金保険料(本人) | 500,000 × 18.30% / 2 | 45,750円 |
| 賞与 雇用保険料(本人) | 500,000 × 0.5% | 2,500円 |
| 賞与 子ども・子育て支援金(本人) | 500,000 × 0.23% / 2 | 575円 |
| 賞与の社保控除後額 | 500,000 − 73,450 | 426,550円 |
| 源泉徴収税額 | 426,550 × 4.084% | 17,420円 |
| 賞与手取り額 | 500,000 − 73,450 − 17,420 | 409,130円 |
本ツールに同じ条件を入力すれば、上記の流れで自動計算されます。 手計算する場合は、国税庁公表の「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」を必ず参照してください。
特例1・特例2(所得税法施行令186条)
前月給与が極端な場合は、算出率表ではなく月額表で按分計算する特例が定められています。
- 特例1: 前月給与がゼロ(入社初月の賞与、休職明け復帰直後の賞与など)
賞与(社保控除後)÷6を月額表で計算した税額×6を源泉徴収税額とします。 - 特例2: 賞与が前月給与(社保控除後)の10倍超(役員賞与の集中支給、決算賞与など)
(前月給与+賞与÷6) の月額表税額から前月給与単体の月額表税額を差し引いた額×6を源泉徴収税額とします。
本ツールは入力値から自動で特例を判定し、結果欄の注記に適用した特例を明示します。 通常の算出率表計算と異なる税額になった場合は、必ず注記を確認してください。
税額が想定と違うときのチェックポイント
- 前月給与が高水準: 残業月の翌月賞与は税率ゾーンが1段上がることがある
- 扶養親族等の数: 申告書の記載人数と一致しているか(7人以上は7人列で頭打ち)
- 特例1/特例2に該当: 入社初月・前月休職・高額賞与は算出率表ではなく月額表計算
- 社会保険料等の実額: 給与明細と差が出る場合は「金額を直接入力」を選び、前月給与分と賞与分の控除合計額をそれぞれ入力する
- 年度境界(4月)の健保キャップ: 年度累計573万円を超える部分は健保料対象外、賞与税率にも影響
年末調整との関係|賞与の源泉税は年末調整で精算
賞与で源泉徴収された税額は、毎月の給与から天引きされた源泉税と合算して年末調整で精算されます。 令和8年分は、令和8年分の税額表・算出率表に基づいて源泉徴収されます。 年末調整では、扶養控除等申告書と各種所得控除の内容を反映して、年間の税額を精算します。
多くのケースで年末調整後に還付が発生する見込みです。 賞与で多めに源泉徴収されている分も、年末調整で他の控除(生命保険料控除・住宅ローン控除等)と合算して 最終的な納税額が確定し、過納分は12月給与に上乗せして還付されます。 年末調整の全体計算は年末調整計算ツールをご活用ください。
関連する控除の検算には給与所得控除計算ツール、 源泉税の計算根拠そのものを確認したい場合は源泉徴収税額計算ツールも参照してください。
自社計算 vs 給与計算ソフト
賞与計算は年に2〜3回のスポット業務ですが、算出率表の読み替え・特例1/2判定・健保キャップ管理など、 毎月の給与計算とは違う論点が多く、規模が大きくなるほどミス発生時の影響も大きくなります。 規模別の判断目安は次のとおりです。
自社で計算する
- 賞与は年2〜3回のため、毎月の継続作業ではない
- 算出率表を直接ひく経験で税務知識が身につく
- 従業員5名以下なら個別判定もExcelで管理可能
- 本ツールで検算しながら進めれば精度を確保できる
給与計算ソフトを導入する
- 特例1/特例2の自動判定でミスを防げる
- 健保キャップ(年573万・月150万)の累計管理が自動
- 役員賞与の事前確定届出給与との照合も自動化
- 算出率表の年次改定が自動反映される
規模別の判断目安(賞与年2回・社員平均月給30万円)
| 従業員規模 | 賞与1回あたりの計算時間 | 年間人件費換算 | 導入判断の目安 |
|---|---|---|---|
| 1〜5名 | 約30分〜1時間 | 約3,000〜6,000円 | 自社計算でも十分 |
| 6〜15名 | 約2〜4時間 | 約12,000〜24,000円 | 給与計算ソフトの導入を検討する価値が高い |
| 16名以上 | 約5時間〜 | 約30,000円〜 | 給与計算ソフトの導入がほぼ必須 |
賞与は年2〜3回のスポット業務なので、毎月の給与計算とは違って「常時自動化」のメリットを感じにくい領域です。 ただし、役員賞与・役員以外でも高額賞与・特例2適用ケースが出てくると、 手計算では誤りリスクが急増するため、給与計算ソフトの導入価値が高まります。
こんな会社は給与計算ソフトを検討すべき
- 役員賞与(事前確定届出給与)を支給している: 特例2適用+損金算入要件の二重管理が必要
- 賞与で残業手当の月数倍を支給する慣行がある: 健保キャップ年573万円到達の管理が必要
- 新入社員・育休復帰直後の賞与支給が頻発する: 特例1の自動判定でミスを防ぎたい
- 複数拠点・多数の標準報酬や賞与累計を横断管理する: 従業員ごとの年度累計(健保573万円)の継続管理まで自動化したい場合はソフトが有効
よくある質問(FAQ)
Q1. 前月給与がゼロ(入社初月・育休明け直後)の場合、どう計算しますか?
算出率表は使用できません。所得税法施行令186条の特例1に該当し、「賞与(社保控除後)÷6」を月額税額表で計算した税額の6倍を源泉徴収します。前月給与がゼロの場合は入力欄に「0」を入力すると、本ツールが自動的に特例1計算に切り替えます。産休・育休明けで前月が社保免除期間だった場合も同様です(免除月は給与「0」と同扱い)。
Q2. 産休・育休明けの賞与で社会保険料が免除になる場合は?
産前産後休業中・育児休業中は社会保険料が免除されますが、復職後に支払われる賞与は通常どおり社保の対象です。ただし、育休中に支払われた賞与(育休開始後1か月以内かつ賞与が育休前の賞与の13分の1以下)は免除になるケースがあります。判断が難しい場合は税理士・社労士または年金事務所にお問い合わせください。
Q3. 賞与は年収の壁(103万円・106万円・130万円)にどう影響しますか?
配偶者や扶養家族が被扶養者の収入要件(所得税上は103万円=給与収入)の判定では、賞与も給与収入に含まれます。年途中で賞与が加算されて収入が壁を超える場合、扶養控除・配偶者控除の対象外になる可能性があります。令和8年分の扶養親族所得要件は62万円以下(給与収入換算で約133万円)に引き上げられましたが、賞与支給前に年収の壁との関係を確認しておくことを推奨します。詳細は給与所得控除計算ツールの解説も参考にしてください。
Q4. 年末調整で源泉税はどう精算されますか?
賞与で源泉徴収された税額は、毎月の給与から天引きされた源泉税と合算して年末調整で精算されます。令和8年分は、令和8年分の税額表・算出率表を用いて源泉徴収します。年末調整では、扶養控除等申告書や各種控除の内容を反映して年間の税額を精算します。年末調整の全体計算は年末調整計算ツールをご活用ください。
Q5. 既存の「賞与計算ツール」との違いは何ですか?
当サイトには賞与計算ツール(shoyo-keisan)と本ツール(shoyo-zeikin)の2種類があります。賞与計算ツールは健保・厚年・雇用保険の社会保険料内訳と手取り概算に重点(標準賞与額573万円/年・150万円/月のキャップ解説あり)。本ツール(賞与税金)は源泉徴収税額表に基づく税額の厳密算出に特化(特例1/特例2の自動判定が強み)。源泉税の検算・税務確認には本ツール、手取り総額の試算には賞与計算ツールを使い分けるのがおすすめです。
Q6. 算出率表は毎年改正されますか?
税制改正に伴い改定されることがあります。令和8年に支払う賞与には、国税庁が公表する令和8年分の「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」を使用します。年が替わる際は、支払年に対応する最新の税額表を国税庁サイトで確認してください。
Q7. 役員賞与(事前確定届出給与)の源泉徴収はどう扱いますか?
役員賞与でも源泉徴収の計算方法は通常の従業員賞与と同じく、算出率表(または特例1・特例2)で計算します。ただし、役員賞与は「事前確定届出給与」として事前に税務署へ届出した金額と支給日が一致しないと損金算入できません(法人税法34条1項2号)。届出と異なる金額・時期で支給した場合、源泉徴収は通常通り行いますが、法人税の損金不算入となります。また、役員賞与は集中支給で前月給与の10倍超となるケースが多く特例2適用が頻発するため、計算誤りを避けるには社労士・税理士のチェックが確実です。
Q8. 算出率表で計算した結果と給与計算ソフトの結果が違うのはなぜですか?
主な差異要因は3点です。①社会保険料等の前提、②特例1/特例2の判定、③標準賞与額の上限処理です。本ツールの「自動概算」は協会けんぽ等の設定と、選択した雇用保険の事業区分から社会保険料等を概算します。給与明細どおりに検算したい場合は「金額を直接入力」を選び、前月給与から控除した社会保険料等と今回賞与から控除する社会保険料等を、それぞれ入力してください。健康保険・介護保険・厚生年金・雇用保険・子ども子育て支援金など社会保険料等の合計で、所得税・住民税は含めません。直接入力では保険別の内訳を推測せず、入力した合計額だけを計算に使います。甲欄の特例1・特例2では、電算機計算の特例を使う場合があり、紙の月額表と税額が異なることがありますが、その差額は年末調整で精算されます。社会保険料等の実際の控除額や年度累計の標準賞与額上限に差がある場合は、給与計算ソフトの結果と照合してください。
Q9. 年度途中で料率改定があった場合、賞与の源泉税は影響しますか?
源泉徴収税額そのもの(算出率表)は年度途中で変わりません。ただし、算出に使う「社保控除後の賞与額」を計算するための健康保険料率は毎年3月分(4月納付分)から、雇用保険料率は4月1日から新年度料率が適用されます。令和8年度は本人負担が一般0.5%、農林水産・清酒製造および建設0.6%です。料率改定があった月以降に支給する賞与は新料率で社保を控除し、その控除後額で算出率表を引きます。料率改定後の最初の賞与計算では、給与計算ソフトの料率設定を更新するのを忘れないようにしてください。
出典・編集情報
本ツールおよび解説は、以下の公的機関の公表情報を一次ソースとして作成しています。
- e-Gov 所得税法186条(賞与の源泉徴収税額)
- 所得税法施行令186条(賞与計算の特例)
- 国税庁 No.2523 賞与に対する源泉徴収
- 国税庁 令和8年分 源泉徴収税額表(賞与算出率表を含む)
- 国税庁 月額表の甲欄を適用する給与等に対する税額の電算機計算の特例(令和8年分)
- 協会けんぽ 令和8年度都道府県別保険料率(本ツールは都道府県選択に対応。お住まい・勤務先の都道府県の料率は同ページ各県欄でご確認ください)
- 厚生労働省 令和8年度の雇用保険料率(2026年4月1日〜2027年3月31日。本人負担は一般0.5%、農林水産・清酒製造および建設0.6%)
未対応・注意事項
- 事前確定届出給与の届出有無による法人税の損金算入判定
- 個別事業の雇用保険における事業区分の判定
- 労災保険料の計算(本人控除ではなく事業主負担のため、本ツールの社会保険料等には含めません)
※ 健保組合を含め、給与明細どおりの社会保険料等で確認したい場合は、「金額を直接入力」で前月給与分と賞与分の控除合計額をそれぞれ入力してください。
執筆: 業務計算ポータル編集部 / 最終更新: 2026年9月16日
本サイトの編集方針・収益化方針については以下をご参照ください。
※ 計算結果は参考値です。正式な給与計算・源泉徴収簿作成にあたっては、 給与計算ソフトまたは社会保険労務士・税理士にご確認ください。 特に役員賞与(事前確定届出給与)・健保組合の料率が不明なケース・前月給与が極端なケースでは必ず専門家の確認を受けてください。