給与所得控除とは?
給与所得控除とは、会社員・パート・アルバイトなど給与を受け取る人に対して、 給与収入の金額に応じて一定額を「必要経費の概算」として差し引ける制度です(所得税法第28条)。 個人事業主が実額の経費を差し引けるのと同様に、給与所得者にはスーツ代・通勤関連の支出・書籍研修費などを 個別に積み上げる代わりに、収入金額に応じた概算額が自動的に控除されます。
計算式は 給与所得金額 = 給与等の収入金額 − 給与所得控除額。 この給与所得金額が、所得税・住民税を計算するときの出発点になります。 本ツールは給与収入を入力するだけで、年度別の速算表に従って給与所得控除額を即座に算出します。
こんな場面で使えます
- 確定申告の下準備: 源泉徴収票の「支払金額」から控除額と給与所得金額を検算したい
- 住宅ローン・児童手当の所得判定: 審査・申請で必要な「給与所得金額」を自分で求めたい
- 税務・経理の学習: 給与所得控除の速算表と適用区分を一発で確認したい
- FPの顧客資料作成: 令和8年分・令和7年分の両速算表で差額を試算したい
令和8年分(2026年分)速算表 — 最低保障額74万円
令和8年分・令和9年分の2年間限定で、 給与所得控除の最低保障額が本則69万円+特例加算5万円=74万円に引き上げられました。 これは令和8年度税制改正として成立・施行済み(令和8年12月1日施行)の確定した取扱いで、 「大綱段階でまだ決まっていない」わけではありません。 基礎控除も本則が58万円→62万円に引き上げられ、合計所得金額489万円以下ならこれに加算42万円が乗って104万円になります。 給与所得控除74万+基礎控除104万で 給与収入178万円までは所得税が発生しない水準(いわゆる「年収の壁178万円」)に到達します (内訳は「年収の壁178万円」と給与所得控除の関係で解説しています)。
74万円は「令和8年分の年額」です(国税庁ページが65万円のままな理由)
この74万円は令和8年分(2026年1月〜12月)の1年間の給与所得控除額で、 1〜11月に稼いだ給与も含めた年トータルの計算に適用されます(一部の月だけ65万円ということではありません)。 一方、月々の給与天引き(源泉徴収)には令和8年11月分まで反映されず、 月次で反映しきれなかった差額は令和8年12月の年末調整で精算されます(年末調整の対象外の方は確定申告で調整)。 国税庁タックスアンサーNo.1410が65万円のまま表示されているのは、この月次の税額表が更新保留になっているためで、 74万円が誤りだからではありません。国税庁も令和8年分について最低保障額の引上げが「行われた」と公表しています (国税庁「令和8年分 基礎控除の見直し等について」)。
| 給与等の収入金額 | 給与所得控除額 | 令和7年分からの変更 |
|---|---|---|
| 2,200,000円以下 | 740,000円(本則69万+特例5万) | 令和8年度改正で引上げ |
| 2,200,001円〜3,600,000円 | 収入×30% + 80,000円 | 変更なし(据置き) |
| 3,600,001円〜6,600,000円 | 収入×20% + 440,000円 | 変更なし(据置き) |
| 6,600,001円〜8,500,000円 | 収入×10% + 1,100,000円 | 変更なし(据置き) |
| 8,500,001円以上 | 1,950,000円(上限) | 変更なし(据置き) |
30%・20%・10%の区分は令和7年分から変更されていません
令和8年度改正で変わったのは給与収入220万円以下の帯だけです。 220万円超の3区分(収入×30%+8万円 / ×20%+44万円 / ×10%+110万円)と850万円超の上限195万円は、 令和7年分と同じ数値のまま据え置かれています。 「令和8年分なのに30%のままなのはおかしいのでは」というご指摘をいただくことがありますが、 改正の対象はあくまで最低保障額まわり(65万円→74万円、および適用上限190万円→220万円)で、 220万円超の区分には及んでいません。
もう1点、上の表は給与所得控除額を定めた法定表です(所得税法28条3項)。 給与収入660万円未満の給与所得の金額のほうは、同条4項が 「前二項の規定にかかわらず」別表第五により求めると定めています。 そのため本ツールの結果画面に「収入×30% + 80,000円」という区分が表示されることはありません (220万円以上660万円未満では別表第五の算式が表示されます)。理由は 「速算表で手計算した金額と結果が合わない理由 — 所得税法別表第五」をご覧ください。
適用の境目: 令和8年分は給与収入220万円以下まで最低保障額74万円が適用されます。 改正前に「収入×30%+8万円」だった190万円超〜220万円以下の区分も74万円に引き上げられたためで、 収入220万円ちょうどでは速算式(30%×220万+8万=74万)と最低保障額が一致します。 なお収入219万1,000円以上220万円未満はごく狭い経過帯で、給与所得金額が 145万1,000円/145万3,000円/145万6,000円の3段階固定額として直接定められています(租税特別措置法29条の4)。
令和7年分(2025年分)速算表 — 最低保障額65万円
令和7年度税制改正で、最低保障額が55万円→65万円に引き上げられ、 従来の「162.5万円以下」「180万円以下」の2区分が「190万円以下」に統合されました。 220万円超の3区分(30%・20%・10%)と850万円超の上限195万円は令和8年分と共通です。 令和8年分では、この190万円超〜220万円以下の帯も最低保障額74万円に引き上げられている点だけが異なります。
| 給与等の収入金額 | 給与所得控除額 |
|---|---|
| 1,900,000円以下 | 650,000円 |
| 1,900,001円〜3,600,000円 | 収入×30% + 80,000円 |
| 3,600,001円〜6,600,000円 | 収入×20% + 440,000円 |
| 6,600,001円〜8,500,000円 | 収入×10% + 1,100,000円 |
| 8,500,001円以上 | 1,950,000円(上限) |
両年度の差分: 令和7年分と令和8年分で違うのは給与収入220万円以下の帯です。収入190万円以下は最低保障額が65万円→74万円、 収入190万円超〜220万円以下は令和7年分の「30%+8万円」が令和8年分では一律74万円に引き上げられました。 収入190万円以下なら令和8年分のほうが給与所得控除額が9万円多い(給与所得金額は9万円少なくなる) という関係です。220万円超の区分と850万円超の上限は両年度とも同一です。
速算表で手計算した金額と結果が合わない理由 — 所得税法別表第五
国税庁のタックスアンサー No.1410 には、速算表の直前に次の但し書きが置かれています。 速算表だけを見て手計算すると、この一文を読み飛ばすことになります。
速算表には但し書きがある(国税庁 タックスアンサー No.1410)
「給与等の収入金額が660万円未満の場合には、以下の表にかかわらず、 所得税法別表第五により給与所得の金額を求めます」 (出典: 国税庁 タックスアンサー No.1410「給与所得控除」。根拠法令等: 所法28、57の2、同別表第五)
根拠条文は所得税法28条4項です。 「その年中の給与等の収入金額が六百六十万円未満である場合には、当該給与等に係る給与所得の金額は、 前二項の規定にかかわらず、当該収入金額を別表第五の給与等の金額として、 同表により当該金額に応じて求めた同表の給与所得控除後の給与等の金額に相当する金額とする」と定められています。 ここでいう「前二項」が、給与所得の金額の定義(28条2項)と速算表そのもの(28条3項)です。 つまり条文上、速算表は660万円未満では明示的に上書きされています。
給与収入660万円未満では上の速算表よりも別表第五が優先します。 別表第五は「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」で、 控除額ではなく給与所得の金額そのものを直接定めた対応表です。 表の値は次の算式で求められています。
所得税法別表第五(給与等の収入金額が660万円未満の場合)
A = 給与等の収入金額 ÷ 4 (1,000円未満切捨て)
収入 220万円以上 360万円未満 → 給与所得の金額 = A × 2.8 − 80,000円
収入 360万円以上 660万円未満 → 給与所得の金額 = A × 3.2 − 440,000円
※ 令和7年分は 2.8 の帯の下限が190万円(最低保障額65万円の適用上限に対応)
要は「4で割ったあとに1,000円未満を切り捨てる」という一手が入っている点が速算表と違います。 ここで端数が落ちるため、給与所得の金額は給与収入4,000円ごとに1段階だけ動く階段状になります。 速算表の連続式(収入×20%+44万円 など)で手計算すると、この切捨てが再現されず金額がずれます。
具体例: 給与収入500万円前後(令和8年分)
| 給与等の収入金額 | A(÷4・千円未満切捨て) | 給与所得の金額(別表第五=正) | 速算表の連続式で手計算した場合 |
|---|---|---|---|
| 4,999,999円 | 1,249,000円 | 3,556,800円 | 3,559,999円(3,199円 過大) |
| 5,000,000円 | 1,250,000円 | 3,560,000円 | 3,560,000円(一致) |
| 5,003,999円 | 1,250,000円 | 3,560,000円 | 3,563,199円(3,199円 過大) |
| 5,004,000円 | 1,251,000円 | 3,563,200円 | 3,563,200円(一致) |
給与収入500万0円から500万3,999円までは、どれも給与所得の金額が356万円ちょうどで同じです。 次の段に上がるのは500万4,000円で、そこで356万3,200円になります。 速算表の連続式では1円刻みで金額が動くため、収入が4,000円の倍数でないかぎり必ずずれます。
ずれる範囲とずれ幅(覚えておく3点)
- ずれるのは給与収入220万円以上660万円未満(令和7年分は190万円以上660万円未満)。 この帯だけが「÷4・千円未満切捨て」の量子化を受けます。
- ずれ幅は最大3,199円(収入360万円以上660万円未満のA×3.2の帯)。 収入220万円以上360万円未満のA×2.8の帯では最大2,799円です。 速算表で手計算すると給与所得の金額が過大になり、そのぶん税額も過大になります。
- ずれ幅が3,200円と出ることもあります(丸め順の違い)。 上記の3,199円は、速算表の連続式で給与所得の金額まで一気に求めて最後に1円未満を切り捨てた場合の値です。 先に給与所得控除額のほうを1円未満切捨てで確定させ、「収入 − 控除額」で求める手順では 3,200円(A×2.8の帯は2,800円)になります。 手計算のどの段階で端数を落とすかで1円変わりますが、いずれの手順であっても正しいのは別表第五の値です。
- ずれないのは3パターン: ①収入が4,000円の倍数のとき、 ②収入220万円未満(令和7年分は190万円未満)=最低保障額をそのまま差し引く帯、 ③収入660万円以上=速算表がそのまま適用される帯。
本ツールが表示する「給与所得控除額」の意味
別表第五は給与所得の金額を直接定めているため、この帯では給与所得控除額のほうが「収入 − 給与所得の金額」の逆算値になります。 本ツールが表示する控除額も、220万円以上660万円未満の帯では同じ考え方で算出しています。 たとえば給与収入499万9,999円なら、給与所得の金額3,556,800円に対して控除額は 4,999,999円 − 3,556,800円 = 1,443,199円。 速算表の「収入×20%+44万円」で求めた1,439,999円とは一致しません。
ただしこの逆算が使えるのは給与所得の金額が出る帯だけです。 給与所得の金額が0円になる低収入帯(令和8年分は給与収入741,000円未満、令和7年分は651,000円未満)では、 別表第五が定めているのは給与所得の金額(=0円)だけで、給与所得控除額を定める規定がありません。 控除額の根拠は本則側にしかないため、本ツールはこの帯では収入から逆算した金額ではなく本則が定める控除額を表示します。 そしてこの本則の書きぶりが令和8年分と令和7年分で異なるため、同じ収入でも控除額が変わります。
令和8年分は、租税特別措置法29条の4第1項の括弧書きが 「七十四万円(当該収入金額が七十四万円に満たない場合には、当該収入金額に相当する金額)とする」と定めています。 控除額は収入金額と74万円のいずれか小さいほうになるため、給与収入70万円なら控除額も700,000円。 令和8年分で控除額が収入金額を上回ることはありません。
令和7年分には、この収入額で頭打ちにする括弧書きが所得税法28条3項一号にありません。 給与収入190万円以下は一律650,000円なので、たとえば給与収入60万円なら 控除額650,000円が収入600,000円を上回りますが、これで正しい表示です。 所得税法28条2項は給与所得の金額を「収入金額から給与所得控除額を控除した残額」と定めており、 残額はマイナスにならないため給与所得の金額は0円で止まります。 控除額が収入を上回ること自体は法が予定している状態で、控除しきれなかった分が他の所得から引けるわけではありません。
| 給与等の収入金額 | 令和8年分の給与所得控除額 | 令和7年分の給与所得控除額 |
|---|---|---|
| 600,000円 | 600,000円(=収入金額) | 650,000円(収入を50,000円上回る) |
| 700,000円 | 700,000円(=収入金額) | 650,000円 |
| 739,999円 | 739,999円(=収入金額) | 650,000円 |
| 740,000円〜1,900,000円 | 740,000円(頭打ち) | 650,000円 |
実務での使い分け(経理・人事担当者向け)
源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」欄を検算するときや、年末調整で給与所得の金額を確定させるときは、 速算表ではなく別表第五を使ってください。速算表で検算すると、 給与収入220万円以上660万円未満の社員はほぼ全員が数千円ずれます。 別表第五の実表は国税庁「年末調整のしかた」に掲載されています。
給与所得の金額のほうを主目的に求めたい場合は、 年末調整 給与所得計算(控除後の金額)もご利用ください。 こちらも同じ別表第五に対応しています。
「給与所得金額」と「給与所得控除額」の違い
この2つはよく混同されますが、意味がまったく違います。
- 給与所得控除額: 給与収入から差し引く金額。本ツールのメイン出力です。 給与所得者の「概算経費」に相当し、収入が多いほど控除額も大きくなります(ただし195万円で頭打ち)。
- 給与所得金額(=給与所得の金額): 給与収入から給与所得控除額を差し引いた残りの金額。本ツールの副次出力です。 確定申告書 第一表「所得金額等」欄や源泉徴収票「給与所得控除後の金額」欄に記載されます。 所得税・住民税の計算はこの金額をベースに、基礎控除・社会保険料控除などを差し引いて行います。
たとえば給与収入500万円・令和8年分なら、給与所得控除額は 500万円×20% + 44万円 = 144万円。 給与所得金額は 500万円 − 144万円 = 356万円となります。 この356万円から基礎控除104万円(合計所得金額489万円以下の場合。本則62万円+加算42万円。内訳は178万円の壁のセクション)・ 社会保険料控除・その他控除を差し引いた額が課税所得となります。
なお、この例は給与収入が500万円ちょうど(4,000円の倍数)なので速算表と別表第五の結果が一致しますが、 収入に端数があるとこの式では合いません。理由は 「速算表で手計算した金額と結果が合わない理由 — 所得税法別表第五」をご覧ください。
所得金額調整控除(850万円超で最大15万円)
給与収入が850万円を超える方のうち、以下のいずれかに該当する場合は 「所得金額調整控除」が適用され、最大15万円が給与所得から追加で控除されます(措置法41条の3の11)。
- 本人が特別障害者に該当する
- 23歳未満の扶養親族(年齢は前年12月31日時点)がいる
- 特別障害者である同一生計配偶者または扶養親族がいる
控除額は(給与等の収入金額 − 850万円)× 10%で計算し、最大15万円です。 1,000万円超は一律15万円となります。給与所得控除の上限195万円とは別枠で給与所得金額から控除されるため、 実質的な控除上限は195万+15万=210万円相当に拡張されます。
本ツールは所得金額調整控除に未対応
該当する方は、本ツールで算出した給与所得金額から別途、所得金額調整控除額を差し引いてください。 年末調整での適用には「所得金額調整控除申告書」の提出が必要です。
「年収の壁178万円」と給与所得控除の関係
令和8年分から登場した「年収178万円の壁」は、所得税が発生しない給与収入の上限ラインです。 この178万円は次の控除の組み合わせで成立しています。
| 控除 | 金額 | 備考 |
|---|---|---|
| 給与所得控除(最低保障) | 74万円 | 本則69万+特例加算5万(令和8・9年分限定) |
| 基礎控除 | 104万円 | 本則62万(所法86条)+加算42万(措置法41条の16の2) |
| 合計(所得税が0になる給与収入の上限) | 178万円 | 合計所得金額489万円以下の場合 |
「基礎控除62万円」は本則額です(実際に引ける額は104万円)
報道などでよく見る62万円は所得税法86条の本則額で、これだけでは178万円になりません(74万+62万=136万円)。 令和8年分の基礎控除は、この本則額に租税特別措置法41条の16の2の加算額を上乗せした金額が実際に適用されます。
| 合計所得金額 | 令和8年分の基礎控除額 |
|---|---|
| 489万円以下 | 104万円(本則62万+加算42万) |
| 489万円超 655万円以下 | 67万円 |
| 655万円超 2,350万円以下 | 62万円(本則額どおり) |
給与収入178万円なら給与所得は104万円(178万−74万)で合計所得489万円以下にあたるため、 基礎控除は104万円。74万+104万=178万円で足し算が成立します。 本ページで「基礎控除62万円」と書いている箇所は、すべてこの本則額を指しています。 (出典PDF: 国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」P.56)
ただし、178万円の壁は所得税のみの基準で、住民税は別体系です。 住民税の非課税ラインは約110万円前後(自治体により異なる)、社会保険の壁は106万円・130万円のままです。 178万円は「給与収入として手取りを最大化できる上限」ではなく「所得税が課税されない上限」である点に注意してください。
自分で計算 vs 確定申告ソフト/税理士
給与所得控除の計算自体は速算表に当てはめるだけで難しくありませんが、 所得金額調整控除・複数所得源の合算・住宅ローン控除との重ね合わせなどが絡むと一気に複雑になります。 状況別の判断目安は次のとおりです。
自分で計算する
- 速算表に収入を当てはめるだけで完結する
- 源泉徴収票の検算・住宅ローン申込時の所得確認に十分
- コストゼロで税制の中身を理解できる
- 給与所得のみ・年末調整完結のケースなら追加コスト不要
確定申告ソフト/税理士に相談
- 所得金額調整控除・特定支出控除など複雑な特例を自動判定
- 副業・住宅ローン控除1年目・医療費控除などの確定申告書を一気通貫で作成
- 850万円超・複数所得源・国際課税が絡むケースの誤申告を防げる
- 税理士相談なら最新の税制改正への対応と還付最大化のアドバイスが得られる
状況別の判断目安
| 状況 | 計算の負担 | 判断の目安 |
|---|---|---|
| 給与所得のみ・年末調整完結 | 低(5分以内) | 自分で計算でOK |
| 副業所得あり・住宅ローン控除1年目・医療費控除あり | 中(30分〜2時間) | 確定申告ソフトが効率的 |
| 850万超・所得金額調整控除該当・複数所得源・国際課税 | 高(2時間以上) | 税理士相談が確実 |
多くの会社員は年末調整で完結するため、本ツールでの検算で十分です。 ただし副業所得・住宅ローン控除1年目・医療費控除・ふるさと納税ワンストップ申請をしていない場合の寄附金控除などが ある場合は、確定申告が必要になります。確定申告ソフトを使えば、給与所得控除も含めた全控除の計算と申告書出力が自動化できます。
よくある質問(FAQ)
Q1. 給与所得控除額と給与所得金額の違いは何ですか?
「給与所得控除額」は給与収入から差し引く概算経費の金額、「給与所得金額」はその差し引いた残りの金額です。たとえば給与収入500万円・令和8年分なら、控除額は500万円×20%+44万円=144万円、給与所得金額は500万円-144万円=356万円となります。確定申告書では「給与所得金額」のほうを記載し、所得税・住民税の計算はこの金額をベースに行います。源泉徴収票では「給与所得控除後の金額」欄に記載されている数値が給与所得金額です。
Q2. 令和8年分と令和7年分でなぜ控除額が違うのですか?
令和8年分・令和9年分の2年間限定で、最低保障額が本則69万円+特例加算5万円=74万円に引き上げられたためです(令和8年度税制改正として成立・施行済み/令和8年12月1日施行。大綱段階の予定ではなく確定した取扱いです)。令和7年分は最低保障額65万円です。差が出るのは給与収入220万円以下の帯で、220万円超の区分(30%・20%・10%)と850万円超の上限195万円は両年度で共通です(令和8年分では従来「収入×30%+8万円」だった190万円超〜220万円以下の区分も一律74万円に引き上げられました)。給与収入190万円以下なら令和8年分のほうが控除額が9万円多く(65万→74万)、給与所得金額は9万円少なくなります。なお、この74万円は令和8年分(2026年1月〜12月)の年間の給与所得控除額で、月々の給与天引き(源泉徴収)には令和8年11月分まで反映されず、差額は令和8年12月の年末調整で精算されます。国税庁タックスアンサーNo.1410が65万円のままなのはこの月次の更新保留が理由で、74万円が誤りだからではありません(詳細は上記「令和8年分 速算表」の注記を参照)。
Q3. 850万円超の上限195万円はどう適用されますか?
給与収入が850万1円以上の場合、給与所得控除額は一律195万円で頭打ちになります(令和7年分・令和8年分とも同額)。850万円までは10%控除+110万円のスライド計算ですが、850万円を超えた瞬間に195万円固定となります。たとえば給与収入1,000万円なら、所得税法上は10%×850万円+110万円=195万円が控除上限。1,500万円でも2,000万円でも控除額は195万円のままで、上限超過分には給与所得控除は適用されません。
Q4. 所得金額調整控除(最大15万円)は誰が対象ですか?
給与収入が850万円を超え、かつ以下のいずれかに該当する人が対象です(措置法41条の3の11)。①本人が特別障害者、②23歳未満の扶養親族がいる、③特別障害者の同一生計配偶者または扶養親族がいる。控除額は「(給与等の収入金額-850万円)×10%」で計算し、最大15万円です(1,000万円超は一律15万円)。給与所得控除の上限195万円とは別枠で給与所得金額から控除され、年末調整または確定申告で適用されます。
Q5. パート・アルバイトでも給与所得控除は受けられますか?
受けられます。給与所得控除は雇用契約に基づく給与収入であれば、正社員・パート・アルバイト・契約社員などの雇用形態に関わらず適用されます。最低保障額(令和8年分74万円・令和7年分65万円)が設定されているため、令和8年分は給与収入220万円以下、令和7年分は190万円以下であれば一律で最低保障額が控除されます。たとえば年間給与収入100万円のアルバイトなら、給与所得金額は100万円-74万円=26万円(令和8年分)となります。パート・アルバイトの基礎控除は令和8年分104万円(所得税法86条の62万円に、租税特別措置法41条の16の2による加算42万円を加えた額。合計所得金額489万円以下の場合に適用)なので、給与以外に所得がなければ給与収入178万円(給与所得控除74万円+基礎控除104万円)までは所得税がかかりません。この178万円が、本ページで扱う「年収178万円の壁」と同じ金額です。なお給与所得金額が0円になる低収入帯(令和8年分は給与収入741,000円未満、令和7年分は651,000円未満)では、給与所得控除額の扱いが年度で異なります。令和8年分は控除額が収入金額と同額になり(給与収入60万円なら控除額も600,000円)、控除額が収入金額を上回ることはありません。令和7年分は給与収入190万円以下が一律650,000円なので、給与収入60万円なら控除額650,000円が収入600,000円を上回りますが、これも誤りではありません。根拠条文と収入別の一覧は、解説の「本ツールが表示する『給与所得控除額』の意味」をご覧ください。
Q6. 年の途中で転職した場合、給与所得控除はどう計算しますか?
転職前後の給与収入を年間で合算し、合計額に対して給与所得控除額を1回だけ計算します。会社ごとに別々に計算するわけではありません。たとえば前職給与200万円+現職給与300万円=合計500万円なら、令和8年分の控除額は500万円×20%+44万円=144万円。源泉徴収票が2枚あれば現職の年末調整で合算処理されますが、退職後に空白期間がある場合や副業がある場合は、確定申告で本人が合算して計算する必要があります。
Q7. 副業のWワーク収入があるとき給与所得控除はどうなりますか?
本業も副業も給与収入なら、両方を合算して1回だけ給与所得控除を適用します(同じ年度の給与収入はすべて合算)。たとえば本業400万円+副業給与50万円=合計450万円なら、令和8年分控除額は450万円×20%+44万円=134万円。副業が雑所得(業務委託・原稿料など)の場合は給与所得控除は適用されず、必要経費を実額で差し引きます。Wワークで副業も給与の場合は、副業先の源泉徴収票を本業に提出するか、確定申告で合算してください。
Q8. 特定支出控除と給与所得控除はどう違いますか?
特定支出控除は給与所得控除の上乗せ制度で、通勤費・職務上の旅費・転居費・研修費・資格取得費・図書費・衣服費・交際費などの実額が「給与所得控除額の1/2」を超えた場合に、超過分を追加で控除できる制度です(所得税法57条の2)。利用には確定申告と支出証明(領収書・勤務先の証明書)が必須。たとえば給与収入500万円なら給与所得控除144万円の半額72万円を超える特定支出があれば対象。実務では、研修費・資格取得費を多く支出する士業・専門職などで活用例がありますが、要件が厳しく利用件数は少ない制度です。
Q9. 速算表で自分で計算した金額と、このツールの結果が数千円ずれるのですが?
計算間違いではなく、法定の取扱いです。給与等の収入金額が660万円未満の場合、給与所得の金額は速算表(連続式)ではなく所得税法別表第五により求めます(国税庁タックスアンサーNo.1410に「給与等の収入金額が660万円未満の場合には、以下の表にかかわらず、所得税法別表第五により給与所得の金額を求めます」と明記/根拠法令等: 所法28、57の2、同別表第五)。別表第五は「A=給与等の収入金額÷4(1,000円未満切捨て)」を使い、収入220万円以上360万円未満はA×2.8−80,000円、収入360万円以上660万円未満はA×3.2−440,000円で給与所得の金額を直接定めています(令和7年分は2.8の帯の下限が190万円)。この「÷4のあと千円未満切捨て」により給与所得の金額は給与収入4,000円ごとの階段状になるため、速算表の連続式で手計算すると最大3,199円だけ給与所得の金額が過大に出ます(先に給与所得控除額のほうを1円未満切捨てで確定させ「収入−控除額」で求める手順では最大3,200円になります。手計算のどの段階で端数を落とすかで1円変わりますが、いずれにせよ正しいのは別表第五の値です)。たとえば給与収入499万9,999円の給与所得の金額は、速算表の連続式では3,559,999円ですが、別表第五では3,556,800円です。ずれるのは給与収入220万円以上660万円未満(令和7年分は190万円以上660万円未満)の帯だけで、収入が4,000円の倍数のとき・220万円未満のとき・660万円以上のときは速算表と一致します。
出典・編集情報
本ツールおよび解説は、以下の公的機関の公表情報を一次ソースとして作成しています。
- e-Gov 所得税法第28条(給与所得)
- 国税庁 タックスアンサー No.1410「給与所得控除」(現時点で令和7年分・最低保障額65万円までの掲載。令和8年分は更新保留中)
- 国税庁「令和8年分 基礎控除の見直し等について」(令和8年分の最低保障額74万円への引上げを明記)
- 国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」P.56〔参考〕令和8年分の基礎控除額の表(PDF)(所得税法86条の本則62万円+租税特別措置法41条の16の2の加算額。合計所得489万円以下は104万円)
- e-Gov 所得税法第28条第3項・第4項(3項=給与所得控除額の法定表=速算表、4項=収入660万円未満は「前二項の規定にかかわらず」別表第五による)
- 所得税法別表第五(年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表)— 給与等の収入金額が660万円未満の場合の給与所得の金額。実表は国税庁「年末調整のしかた」P47〜54に掲載
- 令和7年度税制改正(最低保障額55万→65万、162.5万/180万の2区分を190万以下に統合)
- 令和8年度税制改正(最低保障額の本則69万円引上げ+令和8・9年分限定の特例加算5万円=合計74万円)— 成立・施行済み(令和8年12月1日施行)
- 令和8年分 源泉徴収税額表(国税庁)
未対応・注意事項
- 特定支出控除(通勤費・研修費等の実額控除)には対応していません。適用を受けるには確定申告が必要です。
- 所得金額調整控除(850万円超、年金+給与)には対応していません。
- 本ツールは所得税の給与所得控除を対象としています。住民税は別体系のため、住民税の給与所得金額はわずかに異なる場合があります。
- 日雇労働者・短期アルバイトなど、源泉徴収の仕組みが異なる場合は別途確認が必要です。
執筆: 業務計算ポータル編集部 / 最終更新: 2026年9月6日
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※ 計算結果は参考値です。正式な税額計算や申告手続きについては、税理士または所轄税務署にご確認ください。 税制は改正される可能性があるため、最新の情報は国税庁ウェブサイトで必ずご確認ください。